2016年アメリカ合衆国大統領選挙の共和党候補者選びではドナルド・トランプ氏が一番人気だ。
だが初戦のアイオワで負けたし、今日投票中のニューハンプシャーでも
もし負けるようなことがあれば今後の選挙戦へ影響はかなり大きい。
素人のおれが知ったかぶりで選挙戦について述べたいわけではない。
おれが気になっているのは「空気」についてである。
トランプ氏は「イスラム教徒をアメリカに入国させるな」など単純で極端なことばかり言うし、
なによりあのキャラクターゆえにとても大統領をまかせられるような人材には見えない。
おれにはなんでこの人が共和党候補者の中で一番人気なのか理解に苦しんでいた。
もう数ヶ月前になるがトランプ氏を支持する白人男性と話す機会があった。
彼によるとトランプ氏は政治家の経験はないが、むしろそこがいいらしい。
既存の政治家たちはうそつきばかりだ。彼らは大企業の味方であっておれたちの味方じゃない。
トランプ氏はビジネスマンとして成功してきた実績はあるし、うそはつかない。
今までのおれたちをだましてきた政治家とは違うんだ。
要約するとそういうことだった。
つまり具体的な政策うんぬんではなく、既存の政党や政治家たちにうんざりしているのだ。
こういう「空気」がトランプ氏を一番人気に押し上げている。
この「空気」をリアルに感じておれは思い出した。
2009年の日本だ。
民主党単独に308議席も与えて政権交代が起こった衆院選(*1)のあの「空気」に似ている。
その後、民主党が日本にどういう混乱をもたらしたかここではいちいちあげない。
3年後の2012年の衆院選で自民党に294議席(絶対安定多数は269議席)、
民主党に57議席(現職閣僚8人が落選という歴史的大敗)を与えた(*2)ことからしても
国民がいかに民主党のひどさにうんざりしたかは明白だ。
アメリカには日本と同じような混乱を経験してほしくないと思うが
日本とアメリカでは状況も政治システムも違うので話はそんなに単純ではない。
またひどい経験から人々は学ぶことも多いので、
長い目で見れば何が良いことなのか悪いことなのか判断は難しい。
禍福はあざなえる縄のごとし。
世の中は複雑であり「問題」をたちどころに解決する「銀の弾丸」は存在しない。
それなりの代償を払いつつ、皆でよりよい方法を試行錯誤するのが民主主義なのだろう。
(*1)第45回衆議院議員総選挙 - Wikipedia
(*2)第46回衆議院議員総選挙 - Wikipedia