a stray jellyfish

漂遊海月 〜 ふにゃふにゃの海に漂うあるくらげ もまれもまれて透明に ゆられゆられてアメリカへ
羽生善治三冠×川上量生 将棋電王戦開催記念スペシャル対談

この動画は消されるかもしれないので興味のある方は早めにどうぞ。

対談はブログとは違ってよりリアルな思想が見えて面白い。
1時間ほどある上に専門的な話題も多く見る人を選ぶかもしれないが、
コンピュータ、将棋、ニコニコ動画の方針などに興味がある人なら楽しめる。
もちろん羽生善治や川上量生に興味があれば楽しめる。

おれ的にはツボを押されまくりでかなり面白い動画だった。
川上量生の戦いを避ける考え方や悪手に対する考え方など面白いポイントは
あげだしたらきりがないのでやめておく。



ちなみに昨日はこの対談動画が上がっていなかったので、
検索して見つかったこちらを見ていた。

岡田斗司夫ゼミ 「ニコニコ・評価経済・オタク」川上量生初対談

(実際の内容がはじまるのは9:35あたりから)

時間的には羽生善治と対談した同日みたい。
こちらは1時間半ほどある。
ニコニコ動画の歴史や川上量生に興味のある人なら見る価値あるかも。

川上量生がネット世界をどう捉えているか、
ネット先住民の一部でも助けられたらという思いなどが面白かった。
岡田斗司夫が川上量生の話を自分の考えの枠組みに無理やり当てはめようとしてる部分が
ちょっと見苦しかった。
岡田斗司夫がちょっと上から目線なのが気になるがこの人のしゃべりはわりとこんな感じか。



--- 2013.03.23(米国東部時間) 追記 ---
羽生x川上対談が面白かったのでやっぱり興味深い部分をピックアップすることにした。
要約しているのでニュアンスなど変わっている部分もあるかもしれない。


羽生:将棋ソフトは開発しなくてもハードの進歩だけで強くなる、
という話を10年近く前に聞いた。

川上:日本製のCADソフトはアルゴリズムをチューニングして処理は早かったが
AutoCAD用の専用のハードが開発されて最終的にはそちらの方が早くなり市場を席巻した。

川上:現状、手書き文字の認識などでは人間よりコンピュータの方が優秀。
人間が読めない字をコンピュータは読める。ただそれはどうなのかという気もする。

羽生:バックギャモンなど偶然性がからむゲームだと100万回シミュレーション
できたりするコンピュータの方が強いのかもしれない。

川上:人間はパターン認識と経験から来るデータベースにより生きていて
実は論理的な思考はほとんどしてない。多くの人は。

川上:人間は論理的思考能力よりパターン認識の方が優れている。
パターン認識をうまく論理で説明できない場合に人は「直感」という。

羽生:将棋の場合パッと見て有力な手が見えると強くなったということになる。
コンピュータの場合はすべての手を読んでいくと強くなる。
人間の場合はいかに無駄な手を読まないかという点が重要なのに対して
コンピュータはちょうどその反対をしている。

川上:すべての手を読まずに強い手を選べるというのはすごく高効率。
人間は高圧縮アルゴリズムを持っているということ。
コンピュータが力任せにすべて読むのに対して、
人間の方がアルゴリズムとしては優秀だし、それがインテリジェンスである。

羽生:コンピュータは人間が高効率な思考で見落としてしまう優秀な手を見つける場合がある。

羽生:人間もコンピュータと同様に過去の棋譜を頭の中に保存しているが、
単純に丸暗記しているのではなく、その局面に意味付けして覚えている。

司会(週刊ダイアモンド記者コジマ):すでに人間よりコンピュータの方が強くなったという人も
一部にはいるが、羽生さんとしては現在の将棋ソフトの強さをどう感じているか?
羽生:寄せの段階(将棋の最終局面)ではもう人間はコンピュータには勝てない。
人間では答えを見つけるまでに時間がかかるような問題でもコンピュータは3秒で解答できる。
現在ではコンピュータが寄せの手前でもよい手を指摘するようになってきている。
人間が生理的に考えられないような手を見つけられるようになってきた。

羽生:以前は公式戦で新手が登場し研究が進むのが普通だったが、
現在は公式戦に登場する前に新手が研究されて結論まで出てしまって、
公式のデータベース上に記録が残らないということが発生している。

川上:アメリカだとどこに行ってもチェーン店しかない。それは面白くない。
ガラパゴス化するからこそ面白いモノが生まれる。

川上:日本人としてネットサービスをやって、世界で競争するとはどういうことかを
いつも考えている。最終的にはハードの差、環境の差になると考えている。
環境の差とは日本語だし日本という環境。そういう所が決定打になるような
勝負の局面になるためにはどういうサービスを作ればいいのかな、と考える。

川上:ニコニコ動画を作るときに最初に考えたのは、一番危険なのは日本の政府に
つぶされること。その段階を乗り越えても次にアメリカの政府につぶされるかもしれない。
そういう最終局面で戦えるためにはどういうポジショニングがベストか。
そこから考えた。そのためにはどうすればいいのか。
日本の独自の文化が味方になるようなサービス設計が必要だろうと考えた。

川上:マンガ・アニメなどの日本にしかない文化は国際的に特異だし競争力がある。
世界の中でもまれてピンチになったときに「あると便利な」ポジションにいよう、と考えた。

川上:勝負ごとは孫子の言う通りで戦ってはいけない。
電王戦でもテレビ局や新聞社と取り合うような状況だったらやっていなかった。
基本的に競争はしたくない。ケンカしたくない。

司会:ニコニコ動画は将棋に力を入れている。なぜ将棋に目をつけたのか。
川上:ネットと相性がいいから。見てる側がひまでコメントを打つ間が生まれる。
もう一つは電王戦の人間対コンピュータというテーマがいい。
これは21世紀の人類のテーマだと思っている。

司会:ニコニコ動画が入ってきたことで将棋界にどういう変化があったか。
羽生:将棋の世界でもネットとの相性がいいとは昔から言われていた。
米長前会長が率先してそちらの方向に行こうと積極的にやってきた。
昔は他の人の対局を見ようと思うと将棋会館に行くのがあたり前だった。
それがここ5年ほどのうちにネットや携帯で見るのが普通になった。

司会:将棋をはじめたことによってサービスの進化などはあったのか。
川上:いまニコニコ生放送で一番見られているコンテンツはアニメ、政治、将棋。
いま普通にネットで生放送サービスを考えたときに政治、将棋は絶対に想定しないので面白い。
羽生:一つの将棋盤のまわりでみんなでワイワイやるのは昔の縁台将棋みたい。
川上:ニコニコ動画がはじまった当時は同様にお茶の間がネットに復活したといわれた。
みんなで一つの番組をみながらワイワイやるので。

司会:寄せられている質問。プロ棋士がコンピュータに勝てなくなるとプロ棋士の魅力が
なくなり将棋界が衰退してしまわないか心配。プロ棋士としてどうお考えか。
羽生:チェスの世界ではディープブルー(コンピュータ)に人間が負けたときに
大きなニュースにはなったが、状況は大きく変わらなかった。
このことから将棋界でもそんなに変化はないだろうと私は楽観している。

羽生:人間には棋風(きふう)がある。棋風とはその棋士の性格・個性。
同じ人と何回も対局(対戦)しているとだんだんその人の棋風がわかってくる。
コンピュータと対戦したときに棋風を感じることがあるのか興味がある。

川上:悪い手は総合するとマイナスなんだけども良い面もある。
悪い手は成功するかどうか分からず誰もやらないのでライバルがいない。
わかんないことってみんなやらないので、そこに可能性がある。

川上:ビジネスモデル・勝利の方程式がはっきりしているところは
競争相手が多くてたいへん。良いのか悪いのか自分でもよくわからない、
そういう手が後から見ると成功していることが多い。
羽生:その考え方は米長先生と似ている。少し不利な場面の方を好むところが。
川上:悪い手にも2種類あって、一直線に悪くなる手と、悪くはなるが
そこから選択肢が増える手がある。そういう(後者の)手がだいたい良い感じがする。
羽生:将棋の世界だと米長先生や大山先生もそういう考え方だった。
混沌とした状態なら自分が勝てるという自信があったので、
ちょっとぐらい不利になる手でも気にせず選んでいた。

司会:もし羽生さんがもし経営者だったらどいう点を気をつけるか。
羽生:いろいろ才能がある人が(組織内に)いても時代の流れとマッチングしないとうまくいかない。
潮の満ち引きを見極めるのが大事。
個々の能力を伸ばすことも大事だがタイミングがそれと同じかそれ以上に大事な要素かなと。
川上:私は逆張りが大好き。世の中の流れと逆のことをどうやってやるかをいつも考える。
ただ世の中の流れにまったくないことをやってもうまくいかない。
タイミングとどの流れに乗るのか。それが一番重要。みんなそこで失敗する。

川上:ルールがあるところでやるゲームというのはだいたい負ける確率が高い。

司会:ニコニコ生放送はここで終了。
これ以降の対談は週刊ダイアモンドの誌面の方でお楽しみください。
→この対談は4/1発売の4/6号に掲載される。


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